#006 PCスキルの空白が生む“ビジネス格差

Human Capital Insight #006

Human Capital Insightは、150社50万人以上の方が受検された市場価値測定テストのデータをもとに、日本経済新聞などの記事と紐付けして、業種・職種を越えて、企業の人材のビジネス能力をレポートしたものです。

※市場価値測定テスト…市場価値測定テスト(MVA)とは、独自に開発したセブンレイヤーズモデルに基づいて、ビジネスパーソンの保有するコンピュータースキル、リーダーシップ能力や性格、適性、体力等の潜在的能力を客観的かつ科学的に数値化するためのテストで、1000点満点のテストとなっております。(各能力については100点満点)現在、簡易版を含め、MVAをご利用になられた方は50万人を超え、信頼性の高い人材評価プログラムとして、日本を代表するリーディングカンパニーを中心に高い評価を得ております。

MVAに関する説明はこちら
http://www.v-change.co.jp/mvajtest/

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今日のトピックは、

~「PCスキルの空白が生む“ビジネス格差」~

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『27カ国中最下位…日本がIT人材足りない根本理由』

現在、日本はデジタル分野の専門人材不足に直面しており、2025年には最大80万人が不足する可能性があるとされている。この問題は「2025年の崖」と呼ばれ、経済産業省の予測によれば、デジタルサービスの需要が高まる中で、必要な190万人の専門人材に対して大幅に不足することが懸念されている。しかし、政府はこの状況を改善するための具体的な対策を講じておらず、民間企業の努力だけでは限界があるとの指摘も多い。

特に、日本は数学や科学の成績は良好であるものの、STEM分野でのキャリアを目指す学生の割合が27カ国中最下位となっている。このため、デジタル技術を活用できる人材が不足しており、企業のデジタルアジリティも低い状況にある。また、大企業と中小企業の間にはデジタルデバイドが存在し、「情報格差」が生じていることから全体的なデジタル化の進展が妨げられている。こうした要因が重なることで、日本のGDPに深刻な影響を及ぼす可能性があるだろう。

(東洋経済オンライン 2023年5月2日 電子版より抜粋・編集)

 

上記の記事のように、現代を生きる日本人のパソコン活用能力は著しく欠如しており、弊社はこの事実を重く受け止めています。というのも、弊社が行っている市場価値測定テストの結果からもこうした傾向が読み取れるからです。

 

こちらのグラフをご覧ください。

このグラフは市場価値測定テストにおける各項目の平均点を示しています。このグラフからも分かるように、パソコン活用能力は異文化適応能力の次に低い点数となっており、現代のビジネスパーソンにおいてかなり欠如していることが読み取れます。

 

また、こうしたパソコン活用能力はビジネス能力にどの程度影響を与えるのでしょうか?

こちらのグラフをご覧ください。

このグラフは、パソコン活用能力とビジネス基礎能力合計の関係を表しており、パソコン活用能力の点数が高い人ほど、ビジネス基礎能力の合計点も高い傾向にあることが分かります。

ビジネス基礎能力とは、仕事力を示し、人材の市場価値を総合的に可視化したものです。リーダーシップ、マネジメント能力等、ビジネスパーソンのベーススキル10個を基に、各能力100点の1000点満点で算出しています。(以下の図を参照)

 

では、パソコン活用能力を向上させるには具体的に何をすれば良いでしょうか?

弊社は以下の2つの施策を提案いたします。

 

1つ目はPCスキル社内研修制度の導入です

社内研修の一環として、ExcelやPowerPoint,生成AIといったソフトウェアの基本操作を体系的に学ぶ機会を提供することで、PCの基本操作やITリテラシーを効率的に習得させることが可能です。また、若手社員にだけでなく、管理者層に対しても定期的にアップデート研修を行うことで、社内全体としてパソコン活用能力を向上させることができるでしょう。

 

2つ目はITメンター制度の導入です。

ITに強い人材を新卒や中途で雇い、部署内のメンターとして新人や中高年層をサポートさせることで、部署内のパソコン活用能力を向上させることができます。加えて、世代間における知識の共有やコミュニケーション活性化にも寄与するため、検討の余地はあるでしょう。

 

いずれにせよ、経営層が率先してITツールを活用し、デジタル化の重要性を語ることが、社員の意識改革につながります。「ITは専門職のものではなく、全社員の基礎能力である」というメッセージを発信することが、企業文化の変革の第一歩です。

 

皆様もご自身のパソコン活用能力について、再度考えてみてはいかがでしょうか。

 

※データ標本数:13640名

※このデータは標本より一部を抽出したものです。あくまで参考値としてご覧ください。

(執筆者:小川)