#009 経験を資産に変えるシニア活用戦略

Human Capital Insight #009

Human Capital Insightは、150社50万人以上の方が受検された市場価値測定テストのデータをもとに、日本経済新聞などの記事と紐付けして、業種・職種を越えて、企業の人材のビジネス能力をレポートしたものです。

※市場価値測定テスト…市場価値測定テスト(MVA)とは、独自に開発したセブンレイヤーズモデルに基づいて、ビジネスパーソンの保有するコンピュータースキル、リーダーシップ能力や性格、適性、体力等の潜在的能力を客観的かつ科学的に数値化するためのテストで、1000点満点のテストとなっております。(各能力については100点満点)現在、簡易版を含め、MVAをご利用になられた方は50万人を超え、信頼性の高い人材評価プログラムとして、日本を代表するリーディングカンパニーを中心に高い評価を得ております。

MVAに関する説明はこちら

市場価値測定テスト

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今日のトピックは、
~「経験を資産に変えるシニア活用戦略」~

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『シニア雇用とは 就業者数約1400万人、若手に肉薄』

総務省によれば、2023年の60歳以上の就業者は1468万人で就業率は21.8%と過去最高、20〜34歳の23.2%に迫る勢いとなっている。また、日本経済新聞の調査では「70歳以上まで働く」と答えた人が39%に達するほど、就労意欲が高まっている。しかし、60歳以降の転職理由として「給与不満」が増えている一方で、再雇用後の賃金低下が課題となっているため、企業は待遇改善や就労環境整備によってシニアの定着を図る必要がある。

(日本経済新聞 2024年5月19日 電子版より抜粋・編集)

現在、少子高齢化が進む中で、上記の記事のように「シニア雇用の拡大」が大きな課題となっています。高齢者の人口が増加し、若年層の人口が減少することは労働人口の減少を意味します。このような現状に対して、多くの企業が高齢者に特化した新たな雇用形態を打ち出しています。

では、そもそも「シニア世代」は企業にとっての戦力になりうるのでしょうか。

こちらのグラフをご覧ください。

このグラフは弊社が行っている市場価値測定テストデータに基づくビジネス基礎能力全体の平均点を表しており、65歳未満(18~64歳)と65歳以上(65~79歳)の2軸に分けて算出したものです。

上記グラフからも分かるように、65歳以上のビジネスパーソンの方がビジネス基礎能力は全体的に高く、企業の役に立つ能力の高い人材であることが読み取れます。

では、具体的にシニア世代との能力の差が存在するのはどのスキルなのでしょうか。

こちらのグラフをご覧ください。

このグラフは65歳未満の方と65歳以上の方のビジョン概念化能力を比較したグラフです。ビジョン概念化能力とは将来の在りたい姿・理想像・目的地の解像度の高さを指しています。

このグラフからも分かるように、シニア世代の方が将来に向けた高いビジョンを持っていることが読み取れます。

総じてシニア世代は仕事や生活において「貢献」や「つながり」、「生きがい」を重視する傾向が強く、年齢とともに短期的な報酬よりも社会的意義や役割の継続を優先することが多いです。また、長年の経験に基づく長期視点と安定志向から、組織や後進へのナレッジ継承、品質維持といった役割で高い価値を発揮すると弊社は考えます。そのため、企業はこうした価値観を尊重した職務設計や評価、柔軟なワークスタイルを提示することで彼らのモチベーションと定着を高められるでしょう。

※データ標本数:13640名

※このデータは標本より一部を抽出したものです。あくまで参考値としてご覧ください。

(執筆者:小川)