#003 不確実性の楽しみ方
Beyond the borders ~境界線を超えて~ #003
私は留学経験を通じて、キャリアにおける“不確実性”は避けるべきものではなく、むしろ向き合い、活かすことで自分の成長につながるものだと感じるようになりました。
近年、転職者が増え、終身雇用や年功序列といった前提が揺らぐ中で、キャリアはもはや「一度の選択で決まる一本道」ではなくなってきています。環境の変化に合わせて軌道修正を続ける力が、どの業界でも求められつつあると感じています。
留学先のフランスでは、抗議やストライキは日常的で、交通機関の停止や突然の予定変更にしばしば直面しました。そのたびに私は、状況を冷静に捉え、優先順位を見直し、別の手段を探すという判断を繰り返しました。これはあくまでも一例ですが、慣れない環境に身を置くことで予測不能さの中でいかに自分のリズムを崩すことなく進むのかということは、自分の耐性と判断力を自然と鍛えてくれました。
一方で、人生設計の面でも不確実性は避けられませんでした。私は中学生の頃からイギリスの大学で経営学を学ぶことを夢に描き、高校留学もその目標のために選びました。しかし、急激な円安や学費高騰といった外的要因によって、その進路を断念せざるを得ませんでした。自分ではどうにもできない事情で夢が途切れる悔しさは大きかったですが、この経験は「キャリアは自分の意思だけで完結しない」という現実を強く教えてくれました。
ただ、その揺らぎの中でも私には一つの“軸”がありました。
それは 「広い視野と知見を持つ」 という、抽象的ではあるものの自分の根本にある価値観です。進路が変わっても、この軸に沿って考えることで、自分にとって納得のいく新しい選択肢を見つけることができました。
企業の組織変更、異動、国際情勢、業界再編など、キャリアを取り巻く外部環境は常に揺れ動きます。その中で求められるのは、変化に振り回されない“軸”を持ちながら、その時々の状況を吸収し、自分の選択を更新していく姿勢だと思います。
完璧な条件が揃うのを待つのではなく、まず動き、学び、修正する。
その連続が、結果として唯一無二のキャリアを形づくります。
不確実性は脅威ではありません。
むしろ、自分の可能性を広げる余白として存在していると感じています。
フランスの大学のキャンパスから見える日の入り
(執筆者:武田)
執筆者紹介
株式会社企業変革創造で8月からインターンをさせていただいている武田です。私は高校はアイルランド、大学はフランスのパリ政治学院、そして現在は、交換留学制度の一環として東京大学グローバル教育センターに在籍していて、国際的な経験を積んでいます。現在は“逆留学”のような形で、今までのヨーロッパでの経験と比べて日本で学べる新しい視点を楽しんでいます。Beyond the Borders というコラムの元、海外での学びや生活を通して感じた多様性・価値観・働き方などについて、グローバルな視点から発信してます。