#011 グローバル進出の鍵は“人材力”にあり
Human Capital Insight #011
Human Capital Insightは、200社50万人以上の方が受検された市場価値測定テストのデータをもとに、日本経済新聞などの記事と紐付けして、業種・職種を越えて、企業の人材のビジネス能力をレポートしたものです。
※市場価値測定テスト…市場価値測定テスト(MVA)とは、独自に開発したセブンレイヤーズモデルに基づいて、ビジネスパーソンの保有するコンピュータースキル、リーダーシップ能力や性格、適性、体力等の潜在的能力を客観的かつ科学的に数値化するためのテストで、1000点満点のテストとなっております。(各能力については100点満点)現在、簡易版を含め、MVAをご利用になられた方は50万人を超え、信頼性の高い人材評価プログラムとして、日本を代表するリーディングカンパニーを中心に高い評価を得ております。
MVAに関する説明はこちら
http://www.v-change.co.jp/mvajtest/
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今日のトピックは、
~「グローバル進出の鍵は“人材力”にあり」~
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『ドコモ・NEC、インドネシアで通信網整備300億円受注 政府も支援へ』
NTTドコモとNECが共同出資するOREX SAIは、インドネシアの通信企業サージ社と契約を結び、2026年度までに総額300億円規模の高速通信インフラを整備する計画だ。日本政府は、OREX SAIや現地企業への資金援助や実証事業への支援を検討しており、官民一体となってこのプロジェクトを推進している。東南アジア市場では、中国の大手華為技術(ファーウェイ)が圧倒的なシェアを誇る中、日本は複数メーカーの機器を組み合わせる「オープンRAN」技術を武器に、コスト削減と高い信頼性を両立させた通信網の構築を目指している。こうした取り組みは単なる経済戦略にとどまらず、通信インフラの海外依存を回避し、国家の安全保障を強化する観点からも重要視されており、日本政府は今後も積極的な支援を続ける方針だ。
(日本経済新聞 2025年11月1日 電子版より抜粋・編集)
上記の記事から分かるように、日本の市場が少子高齢化による需要減少や価格競争の激化といった影響を受けている現在、東南アジアなどの成長市場へと企業の海外進出が加速しています。では、成長市場への海外進出が活発に行われていく中、ビジネスパーソンにはどのような能力が求められるのでしょうか。
まず、海外進出の動機には、成長市場への挑戦を志す前向きな姿勢と、国内市場の限界を見据えた消極的な選択の両面があると我々は考えます。また、かつては安価な人件費が主な目的でしたが、現在では現地市場の開拓や輸送拠点の確保といった新たな側面が重視されています。
しかし、こうした新興国への海外進出も魅力ばかりではありません。政治・経済の不安定さや文化的な違いといったリスクも多く、成功には「情報収集能力」と「異文化適応能力」が不可欠です。前者はサーチエンジン等を用いて情報を収集することに加え、数多くの情報から必要なものを取捨選択し、常に目まぐるしく変わっていく市場を観察していく力を指しており、後者は言語だけでなく、交渉相手の文化や商習慣、契約の考え方の違いなどを理解し、柔軟に対応する力を指しています。
2025年現在も、日本のビジネスパーソンはこれらの能力が相対的に低いとされており、グローバル人材の育成が急務となっています。そのため、企業は人材投資を通じて、変化に強い組織づくりを進めることが求められています。
では、この2つの能力を弊社が行っている市場価値測定テストの結果から見てみましょう。下の図をご覧ください。
上の図は2025年現在の日本のビジネスパーソンの能力平均(各能力100点満点)を、市場価値測定によってまとめたグラフになります。その結果、「情報収集能力」は全能力平均中7位の52.9ポイント、「異文化適応能力」は全能力平均中最下位の30.8ポイントとなりました。この結果から日本人は、「情報収集能力」が低く、「異文化適応能力」は他の能力よりも大きく欠けていることが分かるかと思います。
海外進出が活発に行われる現在、高い「情報収集能力」「異文化適応能力」を備えた“グローバル人材”を育成・採用していくことが必要となっていくでしょう。その中でも特に「異文化適応能力」の強化が重要となってきます。
しかし、人材育成はなかなか費用に対する効果が見えにくく、投資と効果におけるタイムラグがあります。したがって、市場価値測定などによって、現状を認識し、定点観測していくことで人材育成の質を高めていくことが重要となってくるでしょう。
※データ標本数:13640名
※このデータは標本より一部を抽出したものです。あくまで参考値としてご覧ください。
(執筆者:小川)